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2026年03月11日(水)

「災害に強い地域づくりのためのヒント〜宮城県丸森町の事例に学ぶ〜」を開催しました

2026年1月31日、浪江町防災交流センターにて、福島大学市民講座「災害に強い地域づくりのためのヒント〜宮城県丸森町の事例に学ぶ〜」を開催しました。

相双地域支援サテライトでは、これまで浪江町幾世橋地域や双葉町駅西住宅において、「防災」を切り口とした地域コミュニティ再構築の取り組みを進めてきました。
そうした中で、非常時におけるコミュニティの力がいかに重要であるかを、他地域の実践事例から学ぶ機会として、本講座を企画しました。

今回は、2019年の東日本台風により甚大な被害を受けた宮城県丸森町から、当時、元民生・児童委員として地域対応にあたられた佐久間新平氏、宍戸克美氏のお二人を講師としてお招きしました。

東日本台風では、丸森町において死者・行方不明者11名、河川18か所の堤防決壊、150か所以上の土砂災害が発生するなど、町政史上最悪ともいえる被害が生じました。
その中でも特に大きな被害を受けた五福谷地区では、集落自体は壊滅的な状況に陥りながらも、地域の強いコミュニティ力によって人的被害を「ゼロ」に抑えることができたという、非常に貴重な事例があります。

本講座では、当時現場の最前線に立たれていたお二人から、災害発生時にどのような判断を行い、どのように行動したのか、そしてそこから得られた教訓について、ご自身の経験をもとにお話しいただきました。

講座の様子

講師 宍戸克美氏

宍戸氏は、仙南地域広域行政事務組合消防長も務められ、現在も丸森町を中心に防災活動に取り組まれています。
講話では、まず東日本台風の概要と丸森町における被害状況について説明いただいた後、ご自身の被災経験や、そこから得られた教訓についてお話しいただきました。
宍戸氏のお話のポイントは、次の4点です。
1. ハザードマップ(防災マップ)の理解と活用
2. 気象情報に関心を持つこと
3. 「マイ・タイムライン」の作成と共有
4. 地域のつながりを深める「お互いさま」の意識と、経験の伝承

特に、被災経験を踏まえた具体的な備えや、「正常性バイアス」に陥らず「明日は我が身」という危機意識を持つこと、そして災害発生前から地域力を高めておく重要性が強く印象に残りました。

講師 佐久間新平氏

続いて佐久間氏からは、長年にわたり地域の民生・児童委員および地区の区長を務められてきた立場から、台風当日の対応をタイムラインに沿って振り返っていただきました。

佐久間氏のお話の中で、特に印象的だった点は大きく二つあります。

一つ目は、過去の経験を教訓として行動されていたことです。
丸森町では2015年にも大雨被害があり、その際、夜間に住民へ避難の呼びかけを行ったものの、電話に出てもらえなかったり、雨音で戸を叩いても気づいてもらえなかったりと、十分な周知ができなかった経験があったそうです。
その反省を踏まえ、今回は朝の早い段階から情報収集を行い、住民に対して早めの避難行動を呼びかけたとのことでした。

二つ目は、日頃から地域コミュニティを大切にしていたことです。
五福谷地区では、集会所でのお花見や芋煮会、新年会などの行事を継続的に行っており、住民同士の顔の見える関係が築かれていました。また、地形的な理由から町指定の避難場所への移動が難しいことを踏まえ、使い慣れた集会所を地域の避難場所として事前に取り決めていたことが、迅速な避難につながりました。

講座の様子

丸森町のパネルの展示

日常的なつながりと事前の合意形成の重要性を、改めて認識する機会となりました。
参加者からは、
「日頃からの備え(自助・共助)と、気象情報や周囲の状況を踏まえた的確な情報収集の大切さを実感した」
「自分の身を守るためには、まず地域や災害について知ることが重要だと感じた」
「山津波や流域全体で災害を捉えるという考え方が新たな学びだった」
といった声が寄せられました。

また、「実際に丸森町を訪れ、現在の様子を見てみたい」といった意見も多く聞かれました。今後は、過去の被災地を巡る住民向けのスタディツアーなども企画していきたいと考えています。

相双地域支援サテライトでは、今後も地域の要望に応じた市民講座を継続的に開催していく予定です。

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